生活保護

2006年10月30日 時事ニュース
以前から指摘されていたのが、
行政による生活保護の門前払いの問題。

yahoo!の記事を見て、今頃やっと取り上げられたかという気持ちになった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061026-00000010-mai-soci

<生活保護>7割が申請に至らず 事前相談で門前払いか

 全国各市が設置する福祉事務所で04年度に受け付けた生活保護の相談件数のうち、実際に保護を始めた割合が平均で28%と3割に満たないことが会計検査院の調べで分かった。最低の北九州市は14.6%で、最高の千葉市は69.7%だった。こうした自治体間の格差について専門家の中には「相談にとどめて申請させない門前払いの実態を示している」と指摘する声もある。政府が給付削減を進める中、生活保護行政の姿勢が問われそうだ。
 検査院は昨年6月に国会から社会保障費の地域間格差の検査を要請され、生活保護費などを調査。初の結果となった。
 検査院によると、相談件数を把握しているのは、全福祉事務所(1225カ所)のうち各市が設置した事務所(903カ所)。政令市と都道府県別に集計したが、最高、最低以外の自治体は公表していない。
 調査結果では、相談件数に対する保護開始率の低さが目立つ一方、相談から申請に至った比率も全国平均で30.6%。最低が北九州市(15.8%)で、最高が千葉市(71.1%)だった。実際に申請された件数に対する保護開始率は平均で91.5%。最低の熊本県でも73.8%と高く、申請後は高率で保護を受けられる実態がうかがえた。
 日本弁護士連合会が今年6、7月に行った生活保護に関する無料電話相談によると、事務所に相談に行った180人中118人(65.5%)が「65歳までは仕事を見つけなさい」「子供などから援助を」などと言われ申請に至らなかったという。
 生活保護行政の問題に詳しい小野順子弁護士は「子供など扶養義務者がいることが理由で相談段階で門前払いになるケースが多い。だが、実際には申請を受けて調査しないと扶養できるのかどうかすら分からない」と指摘する。一方、厚生労働省保護課は「相談者はさまざまな要因で生活に困っており、児童給付などほかの制度を使っている可能性もある。この数字だけで門前払いとは言えない」と話している。【斎籐良太】
   ◇   ◇
 北九州市では、保護を必要とする人たちから悲痛な声が上がっている。
 「区役所の窓口はいつもけんか腰で『子供に援助してもらえ』の一点張り。思わず『首をつって死にます』と言ったこともある」。小倉北区の市営住宅に1人で暮らす女性(75)は8年前に夫と死別。年金月額7万円だけが収入だ。2人の息子のうち援助を受けていた二男が春から音信不通に。長男は自分の家計維持で精いっぱいという。「介護保険料も医療費も上がって暮らしはぎりぎり。夫が元気な間はちゃんと税金を納めていたのになぜこんな目に遭うのか」と涙ながらに訴える。
 同市内7区の福祉事務所は毎年策定する運営方針で相談件数に対する申請率の数値見込みを設定している。同市保護課は「申請件数のとらえ方が自治体によって異なり、申請率を一概には比較できない。市は従来、保護行政の適正実施に努めている。門前払いはしていない」と反論する。
 もちろん北九州市だけではない。今年2月、京都市伏見区では、認知症の母親(当時86歳)の介護で生活苦に陥った息子が、母親に相談の上で殺害し自らも自殺を図った。息子は窓口に3回行ったが、失業保険を理由に申請を受理されなかった。京都地裁は7月の有罪判決で「生活保護の相談窓口の対応が問われている」と異例の指摘をした。また秋田市では今年7月、2度の申請を却下された男性(当時37歳)が、乗用車内で練炭自殺している。【古川修司】

(毎日新聞) - 10月26日3時6分更新


正直、行政は何をやっているのだろう?と思う。
生活保護の対応は、市町村区役所の窓口で行うものであるから
、私たちにとって実は身近なところでの問題だ。
こういう表現の仕方はあまり好ましくないけれど、
窓口応対の公務員レベルに生活保護の申請を拒否する権限は与えられていない。

行政手続法という法律があり、そこに申請に対しての行政の対応の仕方がきちんと定められている。
申請については、行政手続法第二章にあり、この場合には第七条・八条が関わってくる。


(申請に対する審査、応答)
第七条  行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

(理由の提示)
第八条  行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2  前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。


かいつまんで言うと、申請を基に審査を開始し、その申請の仕方もしくは内容に問題がある場合には指摘して直す猶予を与え、
申請の内容を拒否するにはそれなりの根拠が必要であり、申請者に対してちゃんと説明しなきゃいけませんよ、ということだ。

どこにも、申請を拒否してもいいなんて書いてない。

申請そのものを拒否することは、どぎつい言葉で言うと、れっきとした法律違反!!

そういう認識があるのか無いのかわからないけれど、
厚生労働省の内達「生活保護を減らせ」という指示に従がう公務員は結構多いようだ。

こういう現実がある限り、日本という国が豊かだと思うことはない。

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