眠りながら泣いてたみたいで、母と妹に心配された。
「なにかあったの？」って。
思い出し泣きしてたなんて当然、家族には言えない。
20歳になった時にお見合いしたOさんからお手紙がきた。
あれから4年も経つのに、まだ結婚していないらしい。会社社長の息子さんで、私の大学・院の先輩にあたる人。母のお友達の息子さん。いくつ上だったっけ？2，3上だった気がする。私が大学を卒業する時にOさんも院卒業と言う形で、ちょうど卒業する年度が一緒だった。
母親たちの話題に、ちょうど20歳の誕生日を迎える私の話しが出て、恋人はいるの？という話しになったらしい。その頃、彼氏がいるという話は家族にはしていなかった。アヤちゃんに恋人がいないなら、うちの息子はどう？とOさんのお母さんがいたく私のことを気に入っており、お見合いしよう、という話になった。
母の友人と言うこともあって断りづらく、お見合いをした。
お見合いをしてから、もちろん、断るつもりで。
だって、卒業と共に、結婚して大阪（Oさんのお父さんが経営する会社は大阪が本社）に行かなきゃいけないなんて嫌だったから。
私は結婚するために生まれてきたわけじゃない。そんなために大学を出るわけでない。だったら、花嫁修業して若いうちに玉の輿を狙った方がよっぽど賢い。
・・・・・・とまあ、あの頃の私はそういう考えの持ち主だったので、当然、結婚なんて真っ平ご免だった。
Oさんは悪い人じゃない。本当に普通のいい人だ。性格は穏やかで優しい。ただ男としての魅力は感じない、タイプではあるが。
結婚したらそれなりに生活は保障されるから、それなりの旨みのある話しではあったけど。
最近はどうですか？という近況を尋ねるお手紙だった。
Oさんはお父さんの会社に入社して忙しい日々を送っているらしい。
母親同士のつてで、私が来年結婚する予定であることを聞いたらしく、お祝いの旨が書かれていた。
母は惜しいことしたんじゃないの？なんて言う。
けれどそうは思わない。
彼以外に、結婚したいと思うような相手はいない。
彼と結婚しないのなら、独身でいいって思っている。
恋愛はこれでお終い。
私には、次から次へと乗換えるように、人を好きになることなんて出来ない。簡単に傍にいるからという理由で付き合うことも出来ない。恋愛は軽い気持ちでしていいものではないということを、知ってしまったから。
軽はずみな行為は必ずツケがまわってくる。
今ではなくても生きていく中のどこかの時点で。
だからもう、簡単に好きだとはいってはいけない。
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